「愛情あるコミュニケーション」 7月の始め、埼玉県の公立中学校の全校生徒約450名に対して薬物レクチャーを行った。 若者の薬物乱用防止を呼びかけて7年目にして初の大規模なレクチャーとなった。 乱用者の悲惨な状況の映像を含めたレクチャーは大人が見てもグロテスクなものであっ たが、壇上から見える生徒たち一人一人の目はとても真剣で、レクチャー後の何人か の感想の中には「自分の一生の財産となる知識だと思った」という言葉があった。 昔とは異なりワンクリックで薬物に触れることができ、街には脱法ドラッグが堂々と 売られる時代にあって、もはや薬物の知識を得る年齢に早すぎるということはない。 バーテンダーとして歌舞伎町で働いていた以前の私の周りにはドラッグで身を滅ぼす 知人が何人もいた。中には命まで失ってしまった知人もいる。そのような環境にいて 何もできない苦しみを感じていた私が米のL.ロンハバード氏の薬物の研究と解決策 に出会い、乱用防止活動に関わってきた中で接した乱用者には明らかに2つの共通点 がある。 それは、家庭内でのコミュニケーションの希薄さと薬物に対する正しい知識 がないことである。 薬物の存在が身近だった私自身の人生を振り返ると、やはりそこには正しい知識がな い状態での安易な誘惑が常に存在していた。若者にとって日々身近になっている薬物 について正しく知り、自分で判断し選択できる力を与えることは、現在大人の責任で あると心から認識している。自分には関係ないといって避けるのではなく、まずは薬 物に対する正しい知識を得ることから始めてほしいと願う。そして親は子どもに目を 向け推測や想像ではなく正面から向き合って心の声を聞くことが必要のではないだろ うか。小手先の技術では何も解決しないが、愛情を持ったコミュニケーションはどん な形であれその子に必ず伝わることを自分の経験から確信している。そしてその愛情 ある態度、存在こそが子どもの心を薬物の誘惑から守ることにつながるのではないだ ろうか。 薬物問題に関わらず、「知識」と「コミュニケーション」の欠如は様々な教育問題と 関連しており、同時にそれらこそが問題の解決の鍵を有しているのかもしれない。