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■ ADHDの薬に自殺の副作用あり

2003年の初めにリタリンの大量服用の末に自殺した神奈川県の男子大学生(当時25)は、手記に「頼めば処方せんなしで(リタリンを)大量に出してもらえた」と書き残していた。精神科クリニックなどにおける向精神薬の過剰処方を証明する一例である。

手記によると学生は、対人恐怖症を治すために1999年から伊勢原市のクリニックに通い始めた。しばらくすると処方は1日6錠に増え、医師向け説明文書で定めた1日の最大量の2倍となった。薬が切れた時の頭痛と落ち込みは激しく、「布団に横たわることしかできない」と記している。次第に自殺願望が強まり、2000年10月、睡眠薬などを飲んで自殺未遂を起こしたという。その後、「2週間に1回の通院を10日に1度にすればいい」と主治医から助言され、ひんぱんに通院し、「薬局を通さず(処方せんなしで)2、3日おきに2週間分のリタリンをもらった」こともあったという。学生は薬物依存を絶とうと、依存症専門の病院に入院したが依存は治らず、退院後、複数の病院を回って大量の薬を飲み続けた。うつ症状は改善せず、2003年の初め、自宅で睡眠薬などの大量服用によって命を落とした。母親は「自殺未遂後、主治医に投薬をやめてほしいと訴えたのに、なぜ薬を出し続けたのか」と、やり切れない憤りをぶつけた。(毎日新聞2003年8月23日付)

ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状を抑える薬として主に処方されるのが、このリタリンなどの商品名で知られる塩酸メチルフェニデート(methylphenidate hydrochloride)である。ADHDが日本に紹介されたのはごく最近であるが、学童に対するリタリンの処方は1990年代*にすでに始まっており、2006年までに日本で*00万人以上の学童が医薬品としてリタリンを摂取している。

リタリンは中枢神経興奮剤であり、その興奮作用はメタンフェタミン(興奮剤)とカフェインの中間であるとされている。薬理作用からは覚せい剤、アンフェタミン類に分類される。リタリンは日本において最も危険性の高い第一種向精神薬として市販されている。U.S. Drug Enforcement Administration (米国麻薬取締局)による薬物乱用の危険度表示では、リタリンはアンフェタミン、コカインと同等のものとしてランクされている。

本質的に覚せい剤と同じ作用を持つリタリンは幻覚妄想などの副作用を引き起こし、若者の間で乱用依存につながっている。乱用者の間で「合法覚せい剤」あるいは「ビタミンR」などと呼ばれており、インターネットにおけるリタリンの乱用が日本でも社会的な問題としてメディアに取り上げられている。中にはうつ病を装って医師の処方を受けるケースも増えているという。

リタリンをはじめとするADHD治療薬には、現在危険な副作用を警告するラベル表示が指示されている。2005年6月28日、米国食品医薬品局(FDA)は、リタリンやその他のADHD治療薬に伴う「幻覚症状、自殺の危険性、精神病的振る舞い、攻撃性、凶暴性」といった悪影響を理由に、それらの製品に表示されるラベルを変更する意志を発表した。2006年2月8日、米国内でADHDの治療のために薬の投与を受けていた大人や子供51人が死亡していたことが明らかにされたのに次いで、翌々日10日にはFDAの諮問委員会が、リタリンなどの中枢刺激興奮剤に心臓障害、突然死の可能性を記した、最も高いレベルの「黒枠警告」を表示するよう勧告した。

2006年3月22日と23日には、ふたつのFDAの諮問機関によってADHDの治療薬の危険性に関する公聴会が開かれた。2000年1月から2005年6月までの間に、ADHD治療薬を摂ることで児童が精神異常あるいは躁の状態を体験したという1,000近くのケースがFDAに報告されたことに基づき、最初の諮問機関はより厳しいラベル表示を勧告し、もうひとつは特定のADHD治療薬の否認を勧告した。最近でも、2007年2月にFDAが製薬会社に対してADHDの薬の危険性を表示したガイドブックの製作と配布を命じている。ADHDの治療薬に対する同様の厳しい警告は、オーストラリア、イギリス、カナダにおいても出されている。

これらの警告表示は、アメリカを本拠地とする市民団体の要請によって実現した。1990年に米国食品医薬品局(FDA)に対して出された向精神薬の危険な副作用の警告表示の要請は、14年後の2004年10月に初めて実現した。それ以降、2006年までにADHDの治療薬を含む向精神薬に関して国際的に行われた調査と警告の数は60に上り、その結果多くの向精神薬に対して副作用と危険性のラベル表示が勧告されている。

欧米でその危険性が公になっている一方、2006年4月、日本の米系製薬会社が、リタリンと同種の「塩酸メチルフェニデート」を別の商品名でADHDの治療薬として処方するための製造販売承認を申請している。特定の医師と製薬会社は治療薬の啓発キャンペーンを行い、ADHD治療薬の承認を得るための動きが現在急ピッチで進んでいる。

こうした向精神薬を摂ることで命を落とした児童あるいは大人は少なくない。その被害は多大にわたる。日本において同じ惨事を繰り返してはならない。

薬物の真実・・・The world without the drugs. Honey You are Not Alone!
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